―――数か月前。
5人の天才たちは、祭典にて王の言葉を無視した「不敬罪」にて地下牢獄に囚われた。
地下牢獄「ヘルメルト」。
秩序で支配された外の世界を裏返したような無法地帯。
看守は絶対ではあるが、余程のことが無ければ囚人たちに干渉してこない。
荒くれ者たちが溢れかえる広大な地下牢獄は、もはやひとつの街とも呼べるものとなっていた。
5人は別々の場所へと投獄されたが、悲観する者はいない。
彼ら彼女ら天才たちは、間違いなく同じ意志を持ち行動するからだ。
これは、語るまでも無く、当然の共有目標。
『誰が、最初に地下牢獄ヘルメルトを脱獄するか……勝負だ!!』
あれから数か月、それぞれが脱獄を目指し、様々な行動をして来た。
脱獄の準備も整ってきた。
力が拮抗している以上、5人とも同じ状況だろう。
……その日、天才たち5人は、γ地区のオークション会場へ招待されていた。
絡まる思惑、全員今日全てが決着すると覚悟している。
こうして、天才たちのプリズンブレイクがはじまった。